6月になりました     館長から  雨貝 行麿


6月になりましたね。札幌では「ライラック祭り」という行事が大通り公園(札幌市街
地の中心部に東西にのびる緑地帯)を中心に行われます。「ライラック」は「リラ」とも
呼びます。紫色か白の花をさかせる香り高い灌木です。外来種です。言い伝えによります
と札幌に明治21年にその歩みをはじめたスミス女学校、後の北星学園創立者サラ・スミ
スさんが故国から移植したものと言い伝えられています。ひとりでそっと植えたのでしょ
うかそれとも誰かお手伝いしたでしょうか。故国を偲びつつ、ご自分の新たな働きの場に
新たに樹を植える、それが育つ、どんな気持であったでしょうか。100年たって、札幌
の街のあちこちの庭、広場、公園、そして学園に植えられています。ひこばえを挿し木に
しますと根づくようです。

 これが終わると、この10数年まえから「よさこいソーラン」の祭りがおこなわれます。
イヴェントがほしいと考えた北海道大学の学生が企画したものです。初めは「ソーラン節」
と拍子木で調子をとって舞うということでしたが、急速に揃いの陣羽織やはっぴをはおり
はた指物を持ち、およそ1週間集団で歌い踊るという大イヴェントに成長しました。北海
道の長く厳しい冬を追い払う行事でしょう。隊列をつくってスピーカーのボリュウムをあ
げての集団演舞です。老若男女のエネルギーを感じさせます。
10日から14日までです。

さて6月には記憶に新しいことがあります。それは沖縄のことです。南部の、かって沖
縄戦で亡くなった方々、そこではいわゆる「地上戦」という沖縄の住民を巻き込んだ戦闘
が行われたところです。先ごろイラクでの戦争で「非戦闘地域」と「戦闘地域」との区別
を揶揄したかのような国会討論がありましたが、沖縄では住民が生活していたところが戦
場になりました。いまでは多くの方々が亡くなった記念碑が建立されています。戦没者記
念碑が所狭しと並んでいます。沖縄だけでしょうね、日本では。そしてその沖縄での戦禍
を語りつづける方々は女性が多いのです。語りつづける女性たちはこれからの日本の行方
を懸念しているからでしょう。

 6月には沖縄戦の慰霊の日があることを、北の地札幌でも記憶していきたいものです。
この出来事を最近覆い隠そうとする動向が力を持ち始めているからです

 

 さてまた6月、若い人たちは夏の計画をあれこれと考え始めるときではないでしょうか。
札幌は夏快適です。日本の避暑地です。札幌においでの節は是非北海道クリスチャンセン
ターへお泊りください。朝ちょっと早く起きて、森の中の大学、北海道大学キャンパスの
散策、それに少し日が昇れば植物園はすぐです。ごきげんよう!