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Logos 今月の言葉

20129

今年の「平和ツァー」の報告です。『アウシュヴィッツ・不屈のポーランド・黄金のプラハそしてウイーン』として730日(月)から88日(水)まで10日間の旅でした。17名に参加です。この企画と実施は当センター60年間での画期的ともいえる事業でした。

この実施にさきだって「春のセンター講座」は3回、このツァーにむけての準備講座になりました。アウシュヴィッツを訪れた栗原成郎さん(東大名誉教授)のお話し、ヴィデオを上映しての学習、チェコのフスの宗教改革は雨貝が担当、そしてショパンのピアノ曲演奏とトークは大山あいさん、と多彩でした。

 出発、千歳は国際空港です。韓国インチョン(仁川)へ、そしてプラハからワルシャワ・ショパン国際空港へ飛びました。出発に際しては皆の顔はばらばらでした。自分の身の回りの荷物の確認だったのでしょうか。互いに隣は誰かではなくて自分のことで気をとられていたようでした。

 ところがどうでしょう!帰国して千歳空港の入国ゲートを出るときには同行者たちはひとまとまり、みなが心通わせながら旅の道連れであったことを示していました。明るい笑顔で疲れも見せずに、足取りも軽やかでした。別人になったようでした。旅はひとを活性化しますね。

 今夏は、中欧、ポーランドのワルシャワ、クラコフ、チェコのプラハそしてウイーンでは例年にない暑さ35度を連日超えました。その炎天下、関心の高い方々でしたので、一日たくさん歩きました。それ以上にたくさんのことを見学し、反芻し、膚で感じてきました。ワルシャワでの各種の記念館では記念行事に出会い60年前の出来事をいまも語り続けている人々、アウシュヴィッツでの優れたガイド中谷氏、チェコでのリデッツでの当時の歴史の証人、いずれも真摯な方々が語りかける出来事を生き生きと追体験しました。重い重い出来事に心を鎮めながら、でもしっかりとそれらの事実を受けとめようとしてきました。

 同時に中世の街並みのなかを歩きました。初めは傍らの人物を写していましたが、いつの間にかファインダーはレンガ造りの重厚で歴史を感じさせる建物群の造形美に向かっていました。こんな整った街並みを破壊したことがあったのですね。

 帰国半月後に参加者の懇談会をいたしました。バスツアーではなく列車を使ったこと、各地2日滞在、食事もありで心配がないこと、日曜日のフス派(チェコ兄弟団福音教会)の礼拝でチェコ語の美しい音声とそのもとでの聖餐にあずかったこと、初めての12時間の飛行機の旅、異郷の地でのすべてのことが目新しいこと、経験しないことばかりでした。旅の仲間がこれからの仲間になってまた一緒に行こう、パスポートはまだ残りがあるとまで語りだしました。

 北海道クリスチャンセンターの伝統行事の一つ「平和ツァー」は大きな成果を得ることができたようです。板谷良彦主事は、とてもたくさんの学びがあるから、また次の機会につなげよう、と明るい声で職員たちに語りかけました。

 今年の中欧の暑さのなかで、断念しない志、人々のこころには挑戦と跳躍が必要だとあらためて確かめたようです。
                                            (雨貝行麿)

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