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Logos 今月の言葉


2015年 4月 館長からのメッセージ
  

 

 新年度です。新年度に立ち向かう、こころ新たにする季節です。しかし、また一方で過去をひきずっていることも事実です。まだまだ心晴れやかではないことが多々あります。
 2014年度、この一年のなかでこころ塞がれるようなことがありました。気が動転する出来事です。容易には受けとめることができない悲しい出来事があり、まだまだ立ち上がれないことがあります。悲しみがこころに重く、滓のように滞っています。
 かって中世ではたくさんの悲しみを抱えた人々が、そのよりどころとしてマリアさまへ自分の悲しみのこころを繋ぎました。マリアさまは最も悲しみを受けとめ、こらえて生きた方だからです。
 今日でもローマ・カトリック教会の教理では、マリアさまの悲しみは、わたしどもの悲しみを先取りしておられる、だから、マリアさまは、わたしどもの悲しみをもっとも共感してくださる、寄りそってくださる方と教えられています。
 マリアさまはその人生で、そのこころを7つの出来事で刺し貫かれておられます。
1は、イエスを神殿にお連れしたとき、マリアさまはそこでシメオンに祝福され、「あなた自身も剣でこころをさしぬかれる。」と告げられた、その時。
2は、イエスさま誕生の時、ヘロデによって、2才以下の男子を皆殺しにされた時。
3は、イエスさまが12歳の際、エルサレムで、イエスさまを3日間見失ってしまった時。
4は、イエスさまが重い十字架を肩にしてゴルゴタの丘に歩き出した時。
5は、イエスさまが十字架に架けられた、その際、その足もとに佇んだ時。
6は、イエスさまのお身体を十字架から降ろす時。
そして、第7は、若いイエスさまのお身体を埋葬する時。
 マリアさまはそのご生涯において、深い深い悲しみのこころを抱かれておられた、これをミゼルコルデアといいます。マリアさまは、この地上のご生涯において誰よりも深い悲しみのうちにすごされ、涙のご生涯であられた、と語られます。この場面を素材にして「スタバート・マーテル」という音楽ができました。言うまでもなくわたしどもの生涯には、悲しみにこころがふさがれ、涙の谷をあるく、ということが多々あります。
 マリアさまではなくイエスさは、どうでしょうか。わたしどもに人生は悲しみに満ち、涙の河をわたることであります。悲しみも、涙もわたしどもの人生です。悲しみと共に与えられている生涯があるのです。そうです、わたしどもには新しい一日一日が待ち構えているのです。こころ塞がれるようなことです。そのこころこそ、わたしどものいのちです。そのいのちをどんなことがあっても生きよ、生きるに値する尊いことなのだ、だから「わたしはあなたのいのちのすべてのために、すべての自由のために、十字架において神と和解させて十全にいききることなのです。」イエスさまが語りかけてくださることです。悲しみの留まってはならない。
 さて今年は4月第1週が、イエスさまご自身がエルサレムの街で十字架にかかり、3日目によみがえられたことを覚える時です。


                                     雨貝行麿

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