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Logos 今月の言葉


2015年 10月 館長からのメッセージ
  
 

 

 

 「シ−ルズ」をご存知ですか。「Sealds」と書きます。新しい英語単語ではないのですが、たぶん次年度への総括のとき2015年度を記憶する「ことば」になるでしょう。
 「Students Emergency Action for Liberal Democracys」の頭文字です。
戦後70年、アジアで戦争が行われても、それらには日本政府は、日本の青年たちを参加させることはありませんでした。 しかし、今年、政府は「集団的自衛権」という名目で「自衛権」の拡大解釈で今後、戦争に青年たち、自衛隊を海外の戦場へ派遣することを法的に可能にする一連の法案「安保法案」を改正しました。
 この政府の方針は、いままで政治の動向、政府の施策に対しては無言であった青年たちを発言させるようにしました。しかも「Emergency」(緊急)だとしているのです。戦後70年「平和」に生活していた青年たちが「緊急」を感じたのですね。
 彼らの中には、明治学院大学で「国際関係」に関心を抱いていた学生が国会前に集い、発言して、同感を呼び起こし、やがて同感する学生たちの数が増えていったようです。かつて70年代の学生運動では各個大学のキャンパスで意気をあげて、角棒をもって団体で国会前に集まってきたのですが、今回は、一人がそこに来て、共感して、また一人でネットを見てやってきて発言者たちが増えていったというかたちです。
 集う学生たちは、自分自身の中で気に入ったり、感じたりしています。だれからも鼓舞されないのです。なんとなく私学の学生が多いのです。
なかにはキリスト教徒たち「平和を実現するキリスト者ネット」「カトリック正義と平和協議会」など神父やシシター(修道女)の姿もあります。
 憲法学者の多くが今回の法案を「違憲」と発言してきました。日本国憲法は「市民の力」ではなく敗戦の結果であっても戦後70年間市民の中に定着してきたとの発言は法的安定性から最重要でしょう。
 さて、国会前雨の降る中シュプレヒコールは同じ言葉ではなく、応答の言葉になるのです。ラップの音楽のノリで体を動かしての発言です。
 警察車両が連続して彼らを規制しています。かれらはその警察隊に対して抗議の姿勢をすることはありません。「我関せず」の姿勢です。
 札幌では19歳の女子が「戦争なんて怖くてふるえる」という替え歌で、デモするというより街の中心にある「大通り公園」集まって歌うという方法で80人が800人そして1,500人となりました。
 また921日からカトリック東京教区主催で「戦後70年のいまこそ、地上に平和を‐痛みを知る神と共に‐」の主題で全国集会が開催されていました。岡田武夫大司教は、「多くの憲法学者が憲法に抵触する」という法案を提出する政府の行為を批判して」「私たちはキリスト者として、平和とそして痛みを知る神とのつながりを学ぶこと」としました。さらに大会実行委員長の幸田和生司教は「平和は武力では実現しない、これは信仰の確信です。この国がその反対の方向に動いていくことを憂慮する。正義と平和の神が私たちとともにいてくださり、力強く導いてくださるように祈りましょう。」と語りかけました。


                                     雨貝行麿

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