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Logos 今月の言葉


2016年 8月 館長からのメッセージ
  

815日は、日本がポツダム宣言を受諾すると内外に伝え、日本の軍隊が各方面での戦闘を停止することになりました。
 市民は、空襲がなくなり、夜、家で電灯をともしてよいことになり、ほっと笑顔をほころばせて、よかったと顔を見合せたのです。新聞も一転して、米英に対する戦争を鼓舞することをやめました。昭和の初めから戦争、戦争とやってきた日本の人々が戦争を何よりも「放棄」する気心になりました。
 キリスト教徒たちも日本では、「聖戦完遂」「滅私奉公」「忠君愛国」を祈っていたのですが一転して「戦争を放棄する」気心になりました。
 そのような出来事の始まった815日を「平和を守る日」として日本基督教団北海教区は祈念し、また札幌キリスト教連合会(プロテスタントの諸教派の連合)が「平和祈祷会」として毎年集っています。
 ことしは、教団函館千歳教会の牧師柴田もゆるさんをお招きして、クリスチャンセンターを会場にしての礼拝でお話をうかがいました。
 驚きました。
 柴田牧師は、1975年高校生でしたが、友人と二人で在学中の校舎を封鎖して、凶器を準備したということで警察に身柄を拘束されるまでになりました。かれらは近しい牧師種谷俊一さんに相談しました。牧師は二人の話に耳を傾け、関わり生じることを厭わないばかりか、ほんとうに親身になって話を聞きました。親身、親の身になって、父親のように、まさしく柴田君は母子家庭でした。
 牧師は、一週間してから柴田君らに警察に出頭して残らず、ありのままを語りなさい、と助言しました。その出頭から種谷牧師の家宅捜索が行われ、高校生たちを「かくまった」として家宅捜索が行われて、ついに「犯人蔵匿」の罪で起訴され、略式で1万円の罰金を払えとなりました。
 種谷牧師は柴田君のところにきて相談がある、と言いました。牧師は君たちを蔵匿した覚えはない。むしろ警察に行って、ありのままを話しなさい、と勧めました。牧師としては君たちの話を聞いた。だから「犯人蔵匿」の罪は納得できない。牧師としてなすべきことを少しした。だから納得できないが、そこで君、きみはどう思う。これから、もしわたしが牧師としてやったことを納得できないと主張して裁判を始めたら、君たちの復学、高校生活は延期になるだろう。確かにこの間の事情で見方ができた。しかし、君たちは、復学できなくなるかもしれない。どうだ。
 キリスト教の生き方、それはこの時はこうする、こうすべきだ、ということではないのです。徳目表がしめされて、この場合は、このようにする、すべきだ、というのではない。ましてや常識的判断の決まりに従って、道徳的に生きる、ということでもありません。
 それぞれの時、そこでいのちを選ぶ。真実を選ぶ。そのような判断をする。判断ができる。このことが最も大切だ、その判断の中に神の意志を聴き取ることです。
 その高校生が、いま、ほんとうの牧師、種谷牧師のように生きたい、といいます。
 神さまのご判断、いかにひとを愛するかを示されます。 

 
                                     雨貝行麿

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