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Logos 今月の言葉


2017年 2月 館長からのメッセージ
  


(第1回です。次回に続きます)
 今回は、賛美歌のお話をします。初めに「さんびか」に2通りの表現があります。「讃美歌」という漢字ですとこれは固有名詞です。日本基督教団の讃美歌委員会が出版したものです。一般に「さんびか」をいう場合は「賛美歌」としています。
 キリスト教(普通にはプロテスタントを指す言葉です。)は礼拝、そして集会で賛美します。神をほめたたえる歌を歌います。その歌集がそれぞれ出版されています。
 現在では、1997年に日本基督教団讃美歌委員会が『讃美歌21』をあらたに編纂して出版しました。この働きに刺激されて、日本ルーテル教会が『教会讃美歌』を1999年に、日本バプテスト連盟が『新生讃美歌』を2003年に、日本聖公会は『聖歌集』2012年に、福音系といわれる教派が『教会福音讃美歌』2013年、それぞれあらたに編纂して発刊しました。
 2000年第2ミレニアムにはいってから日本のプロテスタント諸教会では賛美歌の新たな歴史が始まっているといえましょう。
 日本基督教団の『讃美歌21』は、まったく新たな装いでなされました。当初は1954年に編纂・出版されたあと、それを補うかたちで67年『讃美歌第2編』を出版、それらを「改定する」ということで1992年に「試用版」が170ほどの賛美歌を出版されました。しかし諸教会信徒たちからの反応は鈍く、それほどの反響は期待できませんでした。
 ただ第2編までは、「大正・昭和」の時代に教会生活をした方々で、賛美歌を作詞・作曲した方々でしたが、讃美歌21の編集委員たち、とくに実務を担当した方々の顔ぶれをみますと、作詞・作曲を専門とする方々は皆無といってよいでしょう。また合唱団を育てた経験者も少ない。そのような人材の少ないなかでの作業でした。
『讃美歌』には8割が欧米由来でした。それらを日本語に訳したのです。翻訳ですから「字余り」になりますので、それを避けるために詩の内容をおよそ半分にしていました。その後今日では不適当な「差別語」「不快語」そして「天皇制」に由来する言語を避けるとして経年的に「訂正」をしてきましたが、途中で編集委員会のなかで「改訂」ではなく抜本的に改変するという意向がうまれ、それがそのまま編集に反映されることになりました。およそ5割を超えて新たな歌が導入され、従来の5割が排除されました。のこされた曲には「てなおし」として言葉を入れ替えました。「原意」を生かすとして新たな翻訳文に入れ替えました。
今回は半世紀経過しましたが、依然として欧米のものを翻訳しています。『信徒の友』ではたくさんの詩が作られていますが、それらを作曲する人がいない。そこで今回も英米由来が多く、ただドイツ・コラール、詩編歌(改革派)が従前より増えました。アメリカ音楽研究者は少ないですがいます。しかし実はイギリスの音楽、賛美歌を研究している方はいません。ドイツ(コラール)やフランス、オランダ(改革派)は専門的には皆無でしょう。したがって、体裁と内容に対して批判がなされています。また出版された当時は、「歌いにくい」「なじめない」という批判や、ラテン語の導入など時代錯誤との批判がなされました。それでも20年になりました。(次回へ) 
                                     雨貝行麿

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