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Logos 今月の言葉


2017年8 月 

 今年はルターの95か条提題、いわゆる宗教改革500年記念の年にあたります。従来はマルチン・ルターがウイッテンベルクの城教会の扉に95か条にわたる提題を打ち付けた、といわれていますが今回、さすがにこの事績を史的に確認することができないといわれはじめました。ただ贖宥状(これも一般には「免罪符」といわれますが正しくはありません)の販売を認可したマインツ選帝侯に対してルターが95か条にわたる意見提出をしたことは史実です。それから500年!これを記念してドイツ、とクレジットカードにルター派教会の支配的な地域(この言い方も実にドイツに限ります)でやや喧伝されていますが、カトリックが支配的な地域はなにも行事らしいものはありません。ルターが神学教授として、1517年に95か条を提出したところが1502年に創立したばかりのウイッテンベルクの街の大学であることから、このことを記念する行事がこの街を中心になされることになりました。ルターの生涯にまつわるいろいろな行事が軒並みで、ルター派の国デンマークやスウェーデンの元首、外交官などが人口5万に程の小さな街を訪れ、ルターに敬意を表しています。城教会の中はドイツ人の観光、見学者たちです。熱心で長い案内がなされ、まさにルターが目指した「教会堂」が「学校」になっていました。ドイツの観光客も多く,にぎわっています。ルター派の方々です。ルターの事績にかかわるところがここチューリンゲン、ザクセン州ですのでルターの生誕の地アイスレーベン、青年時代のエルフルト、そしてヴィッテンベルクをツアーしてきています。わたしも7月に訪ねました。500年記念の訪問者を迎えるべく特別のガイドもありますしまたいくつかブースが街のメインストリート、コレギエン通りのあちこちに設けられています。ルターにちなんでのキリスト教の紹介となりますとなによりも「聖書」です。そこで私は「聖書」の展示されるところを見学しました。すると人待ち顔の担当の方に直ちに「歓迎」されました。小型の木製印刷機、ブドウ絞り機のような機器がおいてありまして、その前に立たされ革の前垂れを身につけさせてくれました。小型のローラーにインクをつけて活字が組み合わされた所に紙をきちんとおいて輪転させ、棒状のレバーをしっかりと左から右に廻して上からしめつけます。ゆっくりと元に戻します。
 すると活版印刷のように「くっきりと」文字が印字されました。サムエル記上の「ひとは目で見ることしかしない。しかし主はこころをみつめる」17:7です。このプリントが訪問者へのプレゼントです。心躍りました。展示のなかに、ルターの書き込みのある詩編の断片、ルターは小さな字で克明にかきしるしています。また「ペシッタ」というペルシャ語訳のごくごく初期の聖書、さらには旧約の五書の巻物など貴重な文献であり、通り一遍の文献の展示ではありませんでした。プロテスタントは「聖書を学ぶ」ので「学習」「研鑽」と切り離せないのですね。ですからいつの時代にも、どの世代にも「ひとからひとへ」伝達されていくのでしょう。                                    雨貝行麿